低髄液圧症候群の基礎知識 低髄液圧症候群とは
低髄液圧症候群は脳脊髄液(髄液)が漏れることにより、頭の中の水圧(髄液圧)が下がり、頭痛やめまい、吐き気がする疾患です。
従来、髄液はめったに漏出しないと考えられていたため、こういった症状は硬膜外麻酔などの医療行為に起因するものが多く、日常生活での衝撃等では起こらないという見解がとられていました。しかし、現在は交通事故等による背中や腰の打撲やむち打ちにより発症するケースもあると考えられています。
低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症は併記される事も多いのですが、それぞれ異なる疾患です。
低髄液圧症候群と同じ症状があるが、髄液圧が正常範囲である場合、低髄液圧症候群とは区別され、脳脊髄液減少症とされています。髄液圧の低下が各症状の原因なのではなく、髄液の漏出そのものがこの症状の原因だと考えられています。
事故後、むち打ちと診断されたけれども、深刻な頭痛やめまい、吐き気に悩まされるようになったという方は低髄液圧症候群や脳脊髄液減少症の可能性がありますので注意が必要です。
当事務所では、
交通事故による低髄液圧症候群を発症してしまった方へのサポートに注力しており、治療中から後遺障害認定申請、その後の示談交渉までの一貫したサポートを行っております。
低髄液圧症候群を発症してしまった方、またはその可能性がある方は、症状の事や治療方針、後遺障害認定や示談金の事などぜひ一度ご相談ください
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の主な症状
・起立性頭痛
・吐き気
・倦怠感
・眩暈、耳鳴り
・集中力の低下、等
長時間立っている場合や体を起こして座っている場合など、上体を起こしている際に深刻な頭痛が生じる(起立性頭痛)のがこの疾患の代表的な症状です。横になる事によって一時的に治まりますが、長時間の勤務が難しくなりますので、被害者の社会復帰への大きな妨げとなっています。
低髄液圧症候群候群(脳脊髄液減少症)の治療法
最も一般的な治療法はブラッドパッチ療法と呼ばれる治療法です。血液により髄液が漏れだしている穴を塞ぐという治療法です。患者の血液を10~20ml採取し、脊髄を覆っている硬膜という膜の外に注入します。施術後72時間以内に効果が出ます。
今までは保険の適用がなかったため、高額の医療費が被害者の大きな負担となっていましたが、平成24年に一部の費用が保険適用される先進医療として認められた事により、負担が大きく減少しました。
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の損害賠償
残念なことに保険会社や共済は低髄液圧症候群による損害の補償に任意の交渉ではなかなか応じてくれないのが現状です。裁判による請求を行う必要があります。
ここで裁判所は低髄液圧症候群の認定に際して以下の内容を判断の材料としています。
・事故態様が重大であること
・事故当初から起立性頭痛が見られること
・髄液の漏出所見があること
・ブラッドパッチ療法施行後に顕著な改善がみられること
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の後遺障害等級認定
低髄液圧症候群は、障害の程度や範囲に応じて、自賠法施行令の9級、12級、14級に該当します。
等級 |
障害認定基準 |
---|---|
9級10号 |
「神経系統の機能または精神に障害を残し、服する事ができる労務が相当な程度に制限されるもの」 |
12級13号 |
「局部に頑固な神経症状を残すもの」 |
14級9号 |
「局部に神経症状を残すもの」 |
むち打ちの全てが低髄液圧症候群だというわけではありませんが、むち打ちと診断されたけれども深刻な頭痛がある方、原因不明の眩暈や吐き気がある方は低髄液圧症候群の可能性を疑って、適切な補償を受けることができるように備えておく必要があります。
当事務所では、
交通事故による低髄液圧症候群を発症してしまった方へのサポートに注力しており、治療中から後遺障害認定申請、その後の示談交渉までの一貫したサポートを行っております。
低髄液圧症候群を発症してしまった方、またはその可能性がある方は、症状の事や治療方針、後遺障害認定や示談金の事などぜひ一度ご相談ください