後遺障害等級表(別表第2)

第1級

第2級

第3級

第4級

第5級

第6級

第7級

第8級

第9級

第10級

第11級

第12級

第13級

第14級

自賠責において後遺障害等級が認定されると、等級に応じた「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を請求することができます。

後遺障害慰謝料とは

後遺障害を負ったことに対する慰謝料です。認定された等級にしたがって金額を請求することができます。また、裁判においては事案の内容に応じて調整金が加算されることがあります。

逸失利益とは

後遺障害が残ったことにより、将来に亘って発生する損害に対する賠償です。
以下の計算式によって算定されます。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
※「労働能力喪失期間」

後遺障害を負ったことによって労働能力を失うことになってしまった年数をいいます。

労働能力喪失期間の終期は原則67歳までとなりますが、高齢者の場合には、67歳までの年数と、厚生労働省が公表している簡易生命表上の平均余命までの年数の2分の1のどちらか長い方が労働能力喪失期間となります。

※「ライプニッツ係数」

「中間利息控除」とも言います。賠償金として受け取る場合、本来被害者が生涯をかけて稼いだはずの金額を前倒しで一度に受け取ることになります。

たとえばこの金額を銀行に預金した場合、本来は生じなかったはずの利息が利益として生じます。より実態に則した正確な賠償額に近づけるために、一度に受け取ったことによって生じた利益を控除する指数がライプニッツ係数です。

【第1級】
慰謝料(裁判所基準)             2,800万円
慰謝料(自賠責基準)             1,100万円
労働能力喪失率                100%

第1級

症状

該当する部位

1号

両眼が失明したもの

2号

咀嚼及び言語の機能を廃したもの

3号

両上肢のひじ関節以上を失ったもの

4号

両上肢の用を全廃したもの

5号

両下肢をひざ関節以上で失ったもの

6号

両下肢の用を全廃したもの

第1級が認定される後遺障害を負ってしまった場合...

どのくらいの賠償金が認められるのでしょうか。裁判例をご紹介いたします。
なお、賠償金の金額は後遺障害の等級の他、事故の態様、加害者や被害者の固有の事情によって異なります。

遷延性意識障害(第1級1号)の場合

治療費 565万円
入院雑費 80万円
付添看護費 450万円
在宅介護費 1010万円
家屋改造費 2450万円
介護雑費 690万円
休業損害 104万円
逸失利益 8901万円
入通院慰謝料 350万円
後遺障害慰謝料 2800万円
慰謝料(近親者) 各100万円
将来介護費 月額30万円~54万円

※上記は概算となります。細かい実費等は含まれていません。
また、既払金及び過失相殺額を考慮しない金額となります。

第1級の後遺障害が認められる場合、本人の後遺障害慰謝料以外に、近親者の慰謝料、自宅や車両の改造費用、転居費用、成年後見人選任申立費用、裁判を行う場合には弁護士費用等を請求することができます。
また、将来の介護費用は、本件のように定期賠償方法が認められることもあります。

後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ってしまった被害者が将来ずっと背負っていかなければならない負担に対する慰謝料です。保険会社が営利を意識して設定した基準で納得してしまうべきではありません。
被害者やご家族の経済的負担を少しでも軽くするためにも、専門家への相談や依頼により、適切な賠償金を受けることができるように交渉する必要があります。

【第2級】
慰謝料(裁判所基準)             2,370万円
慰謝料(自賠責基準)             958万円
労働能力喪失率                100%

第2級

症状

該当する部位

1号

1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの

2号

両眼の視力が0.02以下になったもの

3号

両上肢を手関節以上で失ったもの

4号

両下肢を足関節以上で失ったもの

【第3級】
慰謝料(裁判所基準)              1,990万円
慰謝料(自賠責基準)              829万円
労働能力喪失率                 100%

第3級

症状

該当する部位

1号

1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

2号

咀嚼又は言語の機能を廃したもの

3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

神経・精神

4号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

腹部

5号

両手の手指の全部を失ったもの

【第4級】
慰謝料(裁判所基準)              1,670万円
慰謝料(自賠責基準)              712万円
労働能力喪失率                 92%

第4級

症状

該当する部位

1号

両眼の視力が0.06以下になったもの

2号

咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

3号

両耳の聴力を全く失ったもの

4号

1上肢をひじ関節以上で失ったもの

5号

1下肢をひざ関節以上で失ったもの

6号

両手の手指の全部の用を廃したもの

7号

両足をリスフラン関節以上で失ったもの

【第5級】
慰謝料(裁判所基準)              1,400万円
慰謝料(自賠責基準)              599万円
労働能力喪失率                 79%

第5級

症状

該当する部位

1号

1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

神経・精神

3号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

腹部

4号

1上肢を手関節以上で失ったもの

5号

1上肢を足関節以上で失ったもの

6号

1下肢をひざ関節以上で失ったもの

7号

1上肢の用を全廃したもの

8号

両足の足指の全部を失ったもの

【第6級】
慰謝料(裁判所基準)              1,180万円
慰謝料(自賠責基準)              498万円
労働能力喪失率                 67%

第6級

症状

該当する部位

1号

両眼の視力が0.1以下になったもの

2号

咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

3号

両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

4号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通に話声を解することができない程度になったもの

5号

脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

6号

1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

7号

1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

8号

1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの

【第7級】
慰謝料(裁判所基準)               1,000万円
慰謝料(自賠責基準)               409万円
労働能力喪失率                  56%

第7級

症状

該当する部位

1号

1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

2号

両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

3号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

神経・精神

5号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

腹部

6号

1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの

7号

1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの

8号

1足をリスフラン関節以上で失ったもの

9号

1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

10号

1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

11号

両足の足指の全部の用を廃したもの

12号

外貌に著しい醜状を残すもの

醜状

13号

両側の睾丸を失ったもの

腹部

第7級が認定される後遺障害を負ってしまった場合...

どのくらいの賠償金が認められるのでしょうか。裁判例をご紹介いたします。
なお、賠償金の金額は後遺障害の等級の他、事故の態様、加害者や被害者の固有の事情によって異なります。

腸管損傷等、多発交通外傷(第7級5号)の場合

治療費 1629万円
入院雑費 28万円
器具等購入費用 253万円
付添看護費 113万円
休業損害 1314万円
逸失利益 4553万円
入通院慰謝料 390万円
後遺障害慰謝料 1030万円

※上記は概算となります。細かい実費等は含まれていません。
また、既払金及び過失相殺額を考慮しない金額となります。

本件は、大腸の複数箇所を切除し、人工肛門を増設した事案です。人工肛門は定期的なケアが必要となり、その際必要となる費用は年間10万円を超えます。この事案においては、平均余命までのケア用品の購入費用が、損害賠償額として認められています。この事案のように、治療に必要な費用が、今までにかかった額だけでなく、将来発生すると見込まれる額の請求も認められるケースがあります。

後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ってしまった被害者が将来ずっと背負っていかなければならない負担に対する慰謝料です。保険会社が営利を意識して設定した基準で納得してしまうべきではありません。
被害者やご家族の経済的負担を少しでも軽くするためにも、専門家への相談や依頼により、適切な賠償金を受けることができるように交渉する必要があります。

【第8級】
慰謝料(裁判所基準)              830万円
慰謝料(自賠責基準)              324万円
労働能力喪失率                 45%

第8級

症状

該当する部位

1号

1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの

2号

脊柱に運動障害を残すもの

3号

1手の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの

4号

1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の

5号

1下肢を5センチメートル以上短縮したもの

6号

1上肢の3大関節中の1関節以上の用を廃したもの

7号

1下肢の3大関節中の1関節以上の用を廃したもの

8号

1上肢に偽関節を残すもの

9号

1下肢に偽関節を残すもの

10号

1足の足指の全部を失ったもの

【第9級】
慰謝料(裁判所基準)              690万円
慰謝料(自賠責基準)              245万円
労働能力喪失率                 35%

第9級

症状

該当する部位

1号

両眼の視力が0.6以下になったもの

2号

1眼の視力が0.06以下になったもの

3号

両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

4号

両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

5号

鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

6号

咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

7号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

8号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

9号

1耳の聴力を全く失ったもの

10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

神経・精神

11号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

腹部

12号

1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの

13号

1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの

14号

1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの

15号

1足の足指の全部の用を廃したもの

16号

外貌に相当程度の醜状を残すもの

醜状

17号

生殖器に著しい障害を残すもの

腹部

【第10級】
慰謝料(裁判所基準)              550万円
慰謝料(自賠責基準)              187万円
労働能力喪失率                 27%

第10級

症状

該当する部位

1号

1眼の視力が0.1以下になったもの

2号

正面を見た場合に複視の状態を残すもの

3号

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

4号

14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難でる程度になったもの

6号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

7号

1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの

8号

1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

9号

1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの

10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

11号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

【第11級】
慰謝料(裁判所基準)              420万円
慰謝料(自賠責基準)              135万円
労働能力喪失率                 20%

第11級

症状

該当する部位

1号

両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

2号

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3号

1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

4号

10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

6号

1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

7号

脊柱に変形を残すもの

8号

1手の人差指、中指又は薬指を失ったもの

9号

1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

腹部

【第12級】
慰謝料(裁判所基準)              290万円
慰謝料(自賠責基準)              93万円
労働能力喪失率                 14%

第12級

症状

該当する部位

1号

1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

2号

1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

3号

7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

4号

1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

5号

鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

7号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

8号

長管骨に変形を残すもの

9号

1手の小指を失ったもの

10号

1手の人差指、中指又は薬指の用を廃したもの

11号

1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の指を失ったもの

12号

1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの

13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

神経・精神

14号

外貌に醜状を残すもの

醜状

【第13級】
慰謝料(裁判所基準)              180万円
慰謝料(自賠責基準)              57万円
労働能力喪失率                 9%

第13級

症状

該当する部位

1号

1眼の視力が0.6以下になったもの

2号

正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

3号

1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

4号

両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

5号

5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

6号

1手の小指の用を廃したもの

7号

1手の親指の指骨の一部を失ったもの

8号

1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

9号

1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの

10号

1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの

11号

胸腹部臓器の機能に傷害を残すもの

腹部

【第14級】
慰謝料(裁判所基準)              110万円
慰謝料(自賠責基準)              32万円
労働能力喪失率                 5%

第14級

症状

該当する部位

1号

1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

2号

3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

3号

1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

4号

上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

5号

下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

6号

1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

7号

1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

8号

1足の第3足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

9号

局部に神経症状を残すもの

神経・精神